アメリカで学んだことー1 褒めて育てる・・・

アメリカ時代私はミネアポリス市内にあるinterracial church (白人、黒人、ラティーノ等様々な人種からなる教会)で8年間クワイヤー・ディレクター(聖歌隊の指揮者)として働いていました。 私が一番苦労したのは、「褒めて育てる」というアメリカ型教育文化を実際の指導の中で実行することでした。 日本人は人を褒めることがとても下手です。 子供のころから、悪いところを探して直し、成長していくと言う、批判に基づく教育文化が基本だからです。 それだからこそ、細部にこだわった神経の行き届いたサービスや技術を提供できたきたのだと思います。 ただ、常に批判にさらされることで、萎縮しのびのびとしたパフォーマンスができず、オリンピックなどのストレスの大きい場ではなかなか実力が発揮できなかったという事実もあります。

アメリカでは、ちょっと芝居がかってると思うほど、大げさに子供達を褒めます。 大人に対しても同じです。 私は教会の音楽コミッティーのメンバーからのフィードバックで、もっとポジティブなコメントを! と最初の数年間、耳が痛いほど言われました。 頭では理解しているのですが、これを実行するのは本当の難しい。 自分が慣れ親しんだ日本の文化環境から自由になるのは本当に努力が必要です。 

一つ例を挙げます。 私の所属していたミネソタ大学の音楽学部には日本人のオーケストラ指揮の教授がいました。 この方も日本人のトラウマかオーケストラのリハの際、生徒達を褒めないので有名でした。 ただ、一度「今日は木管がとてもよかった」、とリハ後に述べたところ、場内は一瞬静まり返って、He gave us a compliment! (彼が私達を褒めたー!)とちょっとした騒ぎになったとのことです。 ちなみに、褒め言葉は英語で、compliment、人を褒めるとは、make a compliment to +人 がよく使われます。 残念ながらこの教授は数年で大学を去りました。 生徒を褒めずにチャレンジだけし続ける教育方針がアメリカでは理解されなかったのが原因のようです。

一つネガティブなコメントをあげたら、二つは良かったことを相手に伝える。 これが人を育てる基本と学びました。